縄文時代の人々と豚のかかわり

縄文時代の日本では、シカやイノシシを獲物に狙った狩猟が行われ、植物の採集や栽培と共に食料確保の方法とされ、それまでの移動生活から定住生活へと移行しています。

縄文時代の遺跡からは、イノシシやシカなどの骨が発見され、イノシシの骨からは家畜として利用されていた痕跡があるものも指摘され、一方では疑問視する見解もあります。

稲作が本格化した弥生時代には、農耕に伴う豚や牛、馬といった家畜がみられた中国とは違い、遺跡からは家畜の痕跡はみられませんでしたが、大分の下郡桑苗遺跡からイノシシと豚の骨が出土して以降、いくつかの遺跡から豚や鶏の出土から研究が進められています。

縄文時代の人々と家畜との関わりを紹介します。

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縄文時代に存在した家畜とは?

動物の乳や肉、皮、労働力を人が利用するために、人に慣らし飼育する家畜として、縄文時代の遺跡からも馬や牛といった動物の骨が発見されています。

狩猟や漁労、採集を食料確保の生業とした縄文時代には、狩猟犬としての縄文犬が確認されていて、古代日本人が家畜として飼育した動物の最初と考えられます。

また、狩猟で捕まえたイノシシを訓化して食用とするために飼育したと考えられ、弥生時代には、家畜化された豚や鶏が大陸から持ち込まれています。

縄文時代の遺跡から解明される新たな文化

先史時代の日本の歴史を読み解く手がかりとなる縄文時代の遺跡や遺物には文字がないため、奈良時代などよりも詳細な解明が遅れ、最近でも新たな事実が解き明かされています。

縄文時代が単純な狩猟や漁労、採集といった生活だけでなく、栗などを中心とした植物を栽培して利用していたことに加えて、最近では豚の飼育も存在していたと考えられています。

縄文時代の貝塚から発掘される鹿とイノシシの骨の比率は、ほとんど一対一であるのに対して、弥生時代にはイノシシの比率が増加し、骨には家畜化された形跡がみられる骨が多く出土しています。

弥生時代に家畜として飼育されていたとされる弥生豚は、中国大陸から持ち込まれた豚と考えられていましたが、最近のDNA鑑定によって、弥生豚の多くは縄文時代のイノシシが持つDNA配列と酷似していて日本イノシシが変容したと推測されています。

そのため、縄文時代に家畜として飼育されていた豚は、イノシシが家畜として飼育されていたものが時間の経過と共に家畜化され、豚へと移行したものと推察されています。

縄文時代の人々は犬以外にも豚などの家畜を飼育していた?

これまでの歴史の教科書では、縄文時代の人々の暮らしは、単純な狩猟採集や漁労を中心とし、広葉樹の栗などを栽培した生活を送っていたとされてきました。

その一方、縄文時代の後半に伝わった稲作の影響で、家畜の飼育の可能性も議論され、最近の遺跡調査から発見されたイノシシや豚の骨から、縄文時代後期には家畜飼育が行われていたと考えられています。

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