人類の歴史は戦争の歴史ともいわれるほど、先史時代から現代に至るまで、世界各地で戦争が繰り返されています。
戦争は、利害の不一致や意見の対立などを暴力で解決しようとする行為で、戦争の原因となる理由は、さまざまに考えられます。
人が他人と関わりを持って生きる以上、個人や集団のそれぞれの対立や衝突の可能性がゼロになることはなく、いつの時代も戦争がない社会の実現を目指しています。
そんな歴史の中、先史時代の日本列島の縄文時代には、戦争がないとする説があります。
人類の歴史で繰り返される戦争が起きる理由には?
人類の歴史で繰り返される戦争が起きる理由には、食料や資源の奪い合いによるもの、国家や政府に対する不満で起きる内乱やクーデター、異なる民族や宗教間での対立、国家の侵略行為に対する国家間の対立などが考えられます。
先史時代の狩猟や採集を中心とした生活を送った縄文時代には、生きるために食べ物を確保しなければならず、そのための狩場や畑作の場所の取り合いは争いの原因ともなり、戦争が起きる理由となりそうです。
しかも、移動生活から定住生活へと移行した縄文時代には集落が形成され、縄文土器や磨製石器などが生み出され、徐々に食料が貯蔵されるなど、戦争が起こる理由が多々想像されます。
しかしながら、発掘された縄文時代の遺跡に残された人骨からは、戦争による傷跡がほとんど確認されず、戦争がない状況だったと想像されます。
縄文時代に戦争がない社会だったと言われるのは?
縄文時代に戦争がない社会だったと言われるのは、前述のように、遺跡から発掘された縄文人の遺骨に、戦争による傷跡がほとんど確認されていないためです。
戦争がない社会を生み出した縄文時代には、現代人とは違う縄文人の精神性や価値観があったと推測されます。
狩猟や採集を中心とした生活を送った縄文時代の人々は、現代人のような経済性を追求した労働や価値観とは違い、自然との共存が尊重され、集落内での能力差を互いに認め合っていたと考えられます。
狩猟や採集で獲得される獲物や収穫物は、努力しても同じ成果が得られるとは限らないことを認め、集落内で均等に配分され、生きるための食べ物を奪い合う争いを避けています。
しかも、集落内の竪穴式住居の大きさや配置からも、集落内での身分差や階級がなかったと推測でき、戦争がない社会を本能的に作り出すために争いの原因を排除しています。
争う理由を排除した縄文時代には、戦争がない?
人類が戦争を繰り返してきた理由には、生きるための食料や資源の奪い合いや利害や意見の対立などがあります。
定住生活を始めた縄文時代の人々は、集落内での争いとなる食料を均等に配分し、身分差や階級を設けることなく集団を構成し、争いとなる原因を排除しています。
自然との共存する生活を継続した縄文時代の人々は、現代人とは違う思想や信仰心があったと考えられ、戦争がない社会を本能的に具現化したと推測されます。