縄文時代には虫歯があった?なかった?

毎朝、歯を磨く習慣ができた現代人でも、虫歯や歯周病などで歯科治療を受ける人も多くいますが、歯を磨く習慣がなかった時代の人々の歯はどんな状態だったのでしょうか。

狩猟採集の生活を送っていた縄文時代の人々は、現在のように甘い食べ物もそれほどないため、虫歯がなかったのでしょうか?

ザンビアで発見された約30万年前のカブエ人の化石人骨に、虫歯があったことが確認されていて、ホモ・サピエンスと呼ばれる現生人類の時代から、虫歯や歯周病があったと考えられます。

日本人の祖先にあたる縄文時代の人々の虫歯の状況を紹介します。

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縄文時代の人々には、どの程度の虫歯があった?

縄文時代に生きた人々の古人骨を研究した資料によれば、現代の日本人が30%を超える虫歯率よりは低いものの、縄文人の虫歯率は8.2%という結果が得られています。

稲作が始まった弥生時代には、縄文時代の虫歯率8.2%から16.2~19.7%へと上昇していますが、アメリカの先住民やイヌイットの虫歯率が3%未満だったことからすれば、縄文時代には虫歯が多かったと言えます。

虫歯の原因となる「ミュータンス菌」は、食品の糖質を原料にして乳酸などの酸を作り、その酸が歯を溶かして虫歯となります。

糖質を摂らなければ、ミュータンス菌が酸を作り出すこともなく、虫歯になることはないため、狩猟生活を送った縄文時代の人々に虫歯が多かったのは、意外な結果です。

縄文時代の人々に虫歯が多かったのは?

虫歯の原因となる糖質を摂取しない野生動物には虫歯がないという研究結果の報告もありますが、チンパンジーなど果物を多く摂取する動物には、虫歯ができるともされています。

狩猟を中心とした生活を送り、糖質の摂取が少なかったと考えられる縄文時代人々の約8%に虫歯があったとされるのは、縄文人がドングリや栗などの広葉樹の木の実を加工して、糖質を摂取していたことがわかります。

北海道に住んだ縄文人は、周囲に広葉樹林が少なく、ドングリや栗といった食べ物が摂取できなかったため、虫歯率が2.4%と低かったとされています。

つまり、狩猟採集を中心とした生活を送ったとされる縄文時代の人々が、徐々に農耕生活へと移行したことが虫歯率の上昇と連動していると考えられます。

縄文時代に虫歯が多かったのはドングリや栗を食べたため?

虫歯の原因は、糖質を摂取することで口内の「ミュータンス菌」が乳酸などの酸がつくられることで、歯が溶かされるためです。

糖質を摂取しなければ虫歯になることはなく、そのため、旧石器時代の人々の虫歯率は2.4%と低く、狩猟採集を中心としながらも、次第にドングリや栗を採集、栽培するようになった縄文時代の人々の虫歯率は約8%と高くなっています。

稲作を中心とした生活となった弥生時代には、縄文時代の8%の虫歯率が16%程度の倍になるのも、糖質の摂取量の変化によるものです。

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