縄文時代という時代名は、アメリカ人動物学者モースによって発掘された縄目模様の特徴をもった土器がその名前の由来となっています。
旧石器時代から、土器の発明により生活様式が変化した縄文時代は、日本列島各地で土器が作られて時代が始まり、稲作農耕文化が本格化して弥生式土器が使用される弥生時代まで約1万年という長い期間続いています。
縄文時代を象徴する縄文土器の特徴となっている模様や土器が使用された目的などを紹介します。
縄文時代につくられた土器につけられた模様の特徴
縄文時代につくられた縄文土器の特徴となっている縄目模様は、縄や竹を粘土に押し付けたり転がしてつけられたと考えられ、貝殻や木の棒、小枝や爪などでも模様が描かれた形跡もあります。
土器の表面に縄目模様がつけられたのは、その頃すでにあった「かご」の形状を真似たという説や、製作過程でつけた模様が面白かったために流行しただけという説など、さまざまで明確な理由はわかっていません。
その一方で、縄文土器の模様には、当時のムラの関係や人とのつながり、自然環境や信仰などが表現されているとも考えられてもいます。
現代のTシャツやマグカップなどに、さまざまなテーマでデザインがなされるのと同様、縄文人が作った縄文土器にも当時の人々の共感が得られる模様として使われていたのかもしれません。
縄文時代の縄文土器が使用された目的
縄文時代の土器の大きさや装飾の模様は、多種多様なものが見つかっていて、使われる場面や目的によって使い分けがなされていたと考えられます。
旧石器時代から生活様式の変化をもたらした縄文土器の深鉢状のものには、火に掛けた痕跡があり、食料の煮炊きや貯蔵に使用された特徴と考えられ、旧石器時代からのマンモスなどの大型獣の肉を主食とした食生活から、ドングリや栗などの植物を組み合わせた煮込みや加熱といった料理が可能となっています。
また、ドングリやトチノミといった広葉樹の堅果にあるアクを抜くためや、粉状にするためなどにも利用されています。
食料の煮炊きや貯蔵以外にも、祭祀面でも縄文土器が使用されたと考えられ、埋葬に関わる施設でも使われたと考えられています。
縄文時代につくられた土器がもつ特徴
旧石器時代の大型獣を主食とした肉食生活から、ドングリやトチノミなどの植物食を中心とした食生活へと変化をもたらした縄文土器は、多種多様な形状と大きさがあり、表面につけられた縄目模様が特徴となっています。
稲作農耕文化が本格化してつくられた弥生式土器とは違い、低温で焼かれた縄文土器は、土器の厚さが分厚く、表面が黒っぽい色をしていることも特徴となっていて、食料の煮炊きや貯蔵を可能としています。