縄文時代に食べられていた保存食

狩猟採集を中心とした生活を送っていた縄文時代には、稲作が始まった弥生時代とは違い、食料の貯蔵や計画的な生産ができず、食べることには苦労した時代と認識されています。

しかし、氷河期が終わり温暖化が進んだ縄文時代には、広葉樹林が広がり、木の実などの植物や海産物も多く、縄文土器による料理法も進化したと考えられます。

そのため、長期間にわたり常温で保管しても食べられるようにした保存食が、縄文時代にはすでに存在していたと推測できます。

縄文時代に使われていた保存食の製造方法などを紹介します。

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冷蔵技術がなかった縄文時代の保存食

日本の保存食の源流となる縄文時代の人々が食べていた木の実は、アク抜きするために水でさらし、粉状のデンプンという乾物にして保存されています。

クルミや栗のようにそのまま食べられる木の実ではない、苦味や毒性があるトチノミなどの木の実は、加熱して水にさらすといった加工が加えられて保存食にしています。

また、コンブやワカメなどの海藻類を干して乾燥させる保存法も使われ、その際、乾燥させやすくするために細く切った紐状にするなどの工夫がみられます。

縄文時代の保存食の調理法や保存法に使われた「水にさらす」という知恵と乾燥させて乾物にする方法は、現代にも続く食文化となっています。

縄文時代に工夫された狩猟や調理法

大型哺乳動物を捕まえていた旧石器時代から、縄文時代に入るとシカやイノシシといった動物が狩猟の対象となり、弓矢を多用した狩りが主流となります。

縄文土器の発明により、狩猟で得られた肉や魚介、山菜などを煮炊きする料理がつくられ、食べ物が不足する冬に備えた保存食を備蓄しています。

前述のように、「水にさらす」「乾燥させる」「干物にする」といった方法で保存食をつくる方法に加え、穴を掘って保管する貯蔵穴での保存も行われています。

ドングリの木の実などは、土の中にそのまま埋めてしまうと芽が出るため、カゴや土器に入れて竪穴住居に貯蔵穴を設けて保存しています。

アクの強さに応じた場所に貯蔵穴を掘り保存されていることからも、縄文時代には現在に通じる保存食の作り方の原点があったと考えられ、沿岸部の集落には魚介の干物などの痕跡もみられます。

定住生活の始まりで保存食がつくられた縄文時代

獲物を追いかけて洞窟を転々とした旧石器時代から、一定期間を同一の場所で暮らし始めた縄文時代には、冬場の獲物が得られにくい時期に備えた保存食が蓄えられています。

日頃の食生活においても、灰汁抜きや乾燥させるなどの調理法が用いられ、干物や燻製といった保存方法も取り入れられています。

現代の保存食の原点が縄文時代にあることが、残された遺跡の遺物からも判明しています。

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