縄文時代につくられた磨製石器とは?特徴は?

大森貝塚を発掘したアメリカ人動物学者モースによって見出された土器に、縄目模様が施されていたことから「縄文式土器」と命名され、これらの土器が使用された時代ということから縄文時代という名前が定着しています。

石をただ打ち砕いただけの打製石器を道具に使った旧石器時代から、縄文時代に入ると打製石器に磨くという加工を加えた磨製石器が使われるようになります。

縄文時代といえば、縄目模様が特徴とされる縄文式土器というイメージが強くありますが、狩猟採集の生活に必要な作業に打製石器が改良された磨製石器が使用されています。

旧石器時代から縄文時代に使われた打製石器や磨製石器について紹介します。

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縄文時代に使われた打製石器と磨製石器とは?

縄文時代の狩猟採集を中心とした生活において、木の伐採や木の実の加工、獣の皮の剥ぎ取りなどに使う道具として、石を加工した石器が使われ始めます。

縄文時代になると、旧石器時代に使われていた石をただ打ち砕いただけの打製石器に加えて、石器に磨きを掛けて切れ味を増した磨製石器が新たな道具として使用されます。

磨製石器は、打ち砕いただけの打製石器にある凸凹を磨くことで、石に刃物のような切れ味が生まれ、狩猟採集や木の伐採などの作業効率を向上させています。

また、物を切断できる磨製石器の切れ味には、神秘的な力を感じさせることから、縄文時代後期には、呪術や祭祀にも利用されるようになっています。

縄文時代に使われた磨製石器の種類には?

縄文時代に使用された磨製石器には、磨製石斧、石錐、石皿、磨石などがあげられます。

磨製石斧は、斧の刃の部分に磨いた石を木の棒にさして作られた斧で、縄文時代前期までは、樹木の伐採に使われています。

石錐は、現代でいう手動ドリルにあたり、石の先を磨いて、獣の皮などに穴をあける際に利用されたと考えられます。

石皿と磨石は、今でいうすり鉢とすり棒にあたり、採集した広葉樹林の木の実をすりつぶして粉にしたり、まな板がわりに利用したり、土器の原料となる石を砕いたりする際に利用したと考えられます。

これらの磨製石器は、それまでの打製石器と同様に、石を砕いて大まかに形を整えた後、水で濡らした研ぎ石で磨きをかけて作られ、黒曜石やサヌカイトといった硬くてガラス質の石を選んで加工されています。

縄文時代の作業効率をあげた磨製石器の開発

氷河期が終わり、温暖化が進んだ縄文時代にはいると、狩猟の対象がマンモスなどの大型動物からシカやイノシシといった動きの速い中小型動物へとかわり、植物も針葉樹林から広葉樹林へとかわります。

狩猟採集によって得られた獣の皮の加工や木の実の調理などにも、磨製石器を活用した痕跡が残され、作業効率の向上と共に食生活の向上にも寄与しています。

物を砕いたり、伸ばしたりするために利用された石器に、切れ味が加わった磨製石器は、縄文時代後期には呪術や祭祀の際にも利用されるようになり、宗教的な意味合いを持つようになっています。

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