縄文時代の動物の骨からわかることは?

縄文土器が発見された大森貝塚をはじめとした縄文時代の遺跡や貝塚からは、縄文人が食べた貝や動物の骨とともに、壊れた土器や石器、丁寧に埋葬された犬や人骨までも見つかっています。

貝塚といえば、縄文人が暮らした集落のゴミ捨て場といったイメージを抱きがちですが、縄文人の心情では、この世での役割を終えたものを集めてあの世に送り、再度この世に帰ることを願った神聖な場所だったと推測できます。

そのため、現代では墓地に埋葬されるはずの人骨までも、縄文時代では貝塚から発見され、縄文人の相棒だった縄文犬も貝塚に埋葬されているわけです。

縄文時代の遺跡などから見つかっている動物の骨と縄文人との関わりを紹介します。

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縄文時代の三内丸山遺跡から発掘された動物の骨

青森で発掘された縄文時代の三内丸山遺跡からは、イルカの骨や鹿の骨、そのほかの獣骨といった動物の骨がみつかっています。

縄文時代の大規模集落跡である三内丸遺跡から発掘された動物の骨や魚の骨からは、縄文人の食生活を知る手がかりとなり、シカやイノシシなどの大型動物の骨が少なく、野ウサギやムササビといった小動物の骨が多くみつかっています。

愛媛の上黒岩岩陰遺跡からは、ほぼ全身骨格を保った犬の骨がみつかっていて、縄文人が丁寧に埋葬したと考えられ、「猟犬」として利用されていたことを示唆しています。

また、発掘された犬の骨には骨折が治癒した痕跡を確認できるものもあり、縄文人が猟犬として利用した犬を、仲間あるいは家族のような扱いをしたと想像できます。

縄文時代の人々が活用した動物の骨

縄文時代の遺跡から発掘された動物の骨は、前述のような猟犬のように縄文人の相棒として埋葬されたものや、食料とされた動物の骨、それに狩猟のために加工して利用された骨などがみつかっています。

動物の骨や角を削り、漁労のための釣り針に加工した骨角器がみつかっていて、石で削られたり、擦って作られています。

骨角器には、釣り針をはじめ、銛、針、ヘラなどが作られ、同様な加工で、クシやかんざし、腕輪などのアクセサリーも作れられています。

骨角器に使われたシカは、角からは釣り針やハンマー、前脚の中手骨や肋骨からは針、大腿骨からは刺突具が作られています。

食料や道具として活用された動物の骨が役割を終えたら、縄文人は再度生まれ変わることを祈って、貝塚に埋葬したと考えられます。

縄文時代の遺跡から発見された動物の骨からわかること

縄文時代の遺跡から発見される動物の骨からは、縄文人の食生活や自然環境や思想も垣間見えます。

狩猟採集を中心とした生活を送った縄文人は自然と共存しながら、集落が形成されて家族や集団が意識されはじめ、死後の世界観も今とは違い、生まれ変わりを信じられるような貝塚が作られています。

縄文人と動物の関わりには、食料として捕食するだけではなく、骨や角を骨角器として狩猟や漁労の際にも活用し、役割を終えた骨は貝塚に捨てられたのではなく、祀られたとも推測できます。

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